2018.12.11

■ ストック活用の これからのスタンダード

2年ほど前から、
とある委員会にオブザーバーとして参加していたのですが、
今年の10月から委員となりました。

委員になるからには、私なりに見据えるものが必要だと思い、
関わるようになった当初から私が持っていた意見と、
皆様と議論させて頂いた中で得た、私なりの現時点での答えを
ここに提案としてまとめてみることにしました。
私のモチュベーションの大元ですので、ここは大事にしたいところ。

そもそも、参加するようになったのは、
ストック活用の方面で何件か実務を依頼され、それをやり遂げた中で
どうも法規や手続きが随分とわかりづらく、やりにくい。
これはなんとかならないのだろうかと思ったことがきっかけでした。

街が変わっていっているのだから、
それに合わせて建物の用途を変更する事は必要なことであり、
優先順位の低い取り決めによって、
用途変更できなくなってしまうようなことにはならない方が良い。
あくまで「用途変更を推奨し、手助けする方向」で処理していくことが必要
と感じました。

その根本として私が着目したものは何かと言うと
「法律」でした。

用途変更に関わる法律はまだまだ発展途上、緩和は徐々に進んでいるものの、
根本的な難しさは、変わらないように感じています。
緩和が発表される度に、私が思うことは、
「あ~やっぱり緩和したんだね~、でもやっぱり難しいままだな~(悩)」
その程度では不十分だ~~というのが感想なのです。

しかしながら、法律というのは、知れば知るほど、様々な絡みがあり、
経済とも関わっており、
何かをどうこうすれば「必ず良くなる」というような簡単なことではない
ということもわかってきました。

これはもう、法を組み立てる専門家でなけれは、
バランスを取るのが難しそうなのである。
現在議論されていることは、なんと、
約60年前にも議論されていたのだというのです。。。。
60年変わらなかったものが、今後変わるのにいったい何年かかると言うのだろう。。。。
私はしばらく、この難しさに意気消沈・落胆した。

しかし、再度思い直した次第。
高度経済成長の時代には60年変わらなかったかもしれない。
しかし、変るなら今(頃(^^))だと思われるのです。

バランスを取るのは、その方面での専門家の方々に
知恵を出して頂ければ良いのである。
意見をあげるのは実務をする私達の仕事。
それで良いのである。そこからしか始まりようがないではないか。
そこを遠慮していてはしょうがない。


ただ「提案」というかたちで表現したいと思います。
提案の名前はこうです。


『ストック活用の これからのスタンダード』


●最低限、規模の大きめの用途変更について、

建築士の必要な手続きとして建築士法に規定し、
適切に完成させる

用途変更をしようとする場合、建築士の存在が現実的に必要でありながらも、
法律上、建築士の必要性が明確に規定されていない。
細かく複雑な手続きが求められる割に、実際は曖昧で、
その表す真意を理解するのに時間がかかる上に、
建築士としての立ち位置に規定が無いため、
よりどころの無い不安定な立場となる。危なっかしくリスクが高い。
これは、建築士法の中で、用途変更が建築士の仕事として
明確に規定されることによって、防ぐ事ができる。
これを防ぐことにより、リスクが減り、進めやすくなれば、
用途変更は進展すると考えるのです。


●完了検査に近い確認手続きを設ける

私は、建築が完了検査を受けることが普通である時代に建築を学んだ世代なので、
用途変更の場合には完了検査が不要となることが不思議というか、
逆に、やりにくいと感じています。
用途変更に完了検査が無いのは、
新築から何十年も経った建物のすべての箇所が適切かどうかを、
公的にお墨付きを与えるということはなかなか難しく、
非常に骨の折れる仕事だからなのですが、
用途変更で改装に関わった最低限重要な事項についてだけでも、
完成の確認を取った方が、
様々な関係者の立場や仕事が守られという意味でも健全であり、
オーナーにとっても、外部の評価を得て建物の価値を維持する上でも
効果的ではないかと考えます。


●建築を適切に完成し、維持するのは、建て主。
建物の客観的評価を高め、維持しましょう

建築基準法の中で、建築を適切に完成させるかどうかの責任の所在が、
建物の所有者(建て主)になっているということを、皆さんご存知でしょうか? 

意外にここはわかりづらい部分です。
建築士は、建て主の希望を叶えるための設計をするわけですが、
適切に完成させるというのが基本的な前提です。
前提ですが、それよりも影響力があるのが建て主だということは、
理解のできる部分かと思います。
最終的な影響力を持つ建て主が責任を持つことは、
これはまあ、現実的であり、そうであって良いかもしれない思える部分です。

建物という器は、時代と共に役割を変えざるを得ないわけです。
役割・用途を適切に変えられた方が良く、その方が建物を長く使えます。
そのためには、適切に完成し、その証明を得る事が、
外部の評価を得る上でも重要になってきます。
これからの世の中、事業主や企業などが、常に適切に建物を維持していくことが、
スタンダードに求められる世の中になるのではないかと思います。


私たちは、建物を適切に完成させたいと考える方々の手助けをしていきたいと考えています。


関連記事:

■ 用途変更・コンバージョンのためのチェックポイント :
持続可能な施設運営のために


■ 用途変更・コンバージョンのためのチェックポイント :
持続可能な施設運営のために-2




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2018.11.21

■ 駅舎デザインの提案 - 3

さて去年の夏に提出した 駅舎の提案 について、
京王線立体交差事業 駅舎デザイン の 続報 が出ています。
京王線の7駅 (代田橋駅・明大前駅・下高井戸駅・桜上水駅・上北沢駅・芦花公園駅・千歳烏山駅)のうち私達が提案したのは、代田橋駅でした。

その提案した意見を参考にとりまとめた世田谷区の考え方を
東京都及び京王電鉄に要望書として提出され、
その要望書を参考に作成された駅舎デザイン(案)が
京王電鉄より提示されたとのこと。それがこちらの画像。

Matidukuritushin172630京王線沿線まちづくり通信第17号  より抜粋。CGは京王電鉄のもの。

おお~。私達の要望が結構反映されているようです。
「事業者への要望」・「デザインのポイント」は、
私達が提案したものとさほど違いません。
提案したコンセプトが大枠採用されたというのは、
自分たちの感覚がまあ間違っていないのだなあということであり、
まず、うれしい事です。

そして、全体としてのデザインですが、
各駅停車駅としては、上出来すぎる風格です。
本当に、各駅停車駅をここまで攻めるのだろうか・・・。
このクオリティで完成するとしたら、ビックリ。凄過ぎです。
まあ、現時点ではあくまで提案ということなので、
クオリティの高さについては、良かったということで、次に行きましょう。

ただ一つ、なるほど~そうきましたか~と感じるのは、
(ちょっと違う感じがするな~という意味です)
「玉川上水の流れを感じさせるデザイン」が、
サッシの方立てと縦ルーバーが波打っているデザインで処理されているところ。
少々「懐かしい土木」的な解釈なのかなあ・・・、といった印象です。
この、「水をイメージさせる波形の形状」は、
昔から有る水を表す「記号」に近いものではないかと思います。
神田川等の手すり等に使われている種のもの。

Img_2812cut

神田川の手摺り。我が子が左に居るので、
そこはカットして手摺りのみの表示です(^^) 。

川の手すりなら、気にも留めないのですが、
駅のファサードに落とし込むには、少し大味なデザイン?
いえ、もちろん提案された上のCGの処理も、決して悪くはなさそうです。
むしろ、良くまとめてある感じもします。
ただ、もう少し別の方法で表現できないだろうか。

いえ、もちろん、わかるんですよ~。
玉川上水という水道のイメージを建築に持たせようとする時、
私達は「懐かしさもある土木的な構造(例えば古レール風の構造体※)」
で表そうとしたのですが、
そこを違う方法で取り込もうとして、悩んでくれたんだと思います。
でもちょっと時間が足りなかった・・・的な感じでしょうか。

下に、私達が古レール風の構造体を提案した理由をまとめます
----------------------------------------
古レール風の構造体で表したいこと:

多く流通している小径の材で組むことにより、
普及性が有り、もしかすると経済的。
(※現代では手間=人件費の方がお金がかかるため、
直結はしないと思いますが、可能性として)
構造フレームのスケールを小さく見せることで、
より人に近い、親しみの有るスケールにできる。
鉄骨を曲げた曲線は、人の手を感じさせ、また美しくもある。
上記のような良さが垣間見えた「古レールの構造体」の現代版を作ることで、
駅をより人に親しみやすいものとする。
また、その構造体は土木的なイメージを想起させ、
水道やそこに架かる水道橋のイメージにも近い。

これについては、また次回。
----------------------------------------

デザインを「記号」で処理してしまうのは、
直接的ですし、少し表層的に感じます。
もう少し深く掘り下げた形で街のイメージを表したいところです。
直喩ではなく隠喩と言えばわかり易いでしょうか。

そこのデザイン処理の方法は、
結構大きな要素なのではないかと思っています。


※ あわよくば設計は私達に相談頂ければ〜と思っています(^^)。

 土木系の研究者・景観設計・デザイナーとのチームも組めるかと思いますので。
 以下、勝手にJV(ジョイントベンチャー)。

 ・総括アドバイザー:国士舘大学 二井研究室 二井氏
 ・景観設計:株式会社 EAU 崎谷氏
  ・街路灯,ファーニチャー設計:NAGUMO DESIGN 南雲氏
 ・交通計画アドバイザー:東京大学 羽藤氏
 ・建築設計:弊社 及び 設計チーム

  また、玉川上水道との親水広場を整備する場合は




上記は、GSデザイン会議:GROUNDSCAPE DESIGN INSTITUTE のメンバーです。



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2018.10.19

■ 地鎮祭・地縄確認・色決め

Img_2779630

先日、地鎮祭がおこなわれました。

今回は、大学時代の友人から依頼されて取り組んでいる家作りです。

いよいよ現場が始まるときは、いつもながら、とても楽しみです。

写真右は神主さんと現場監督さん。お世話になります!

 

Img_2826630

地鎮祭の次の週、早速ですが、建物位置の確認です。

写真右は、建設会社の社長さん。

 

その他、

・地盤改良位置やレベル

・基準レベルとなるマンホール

・設計GL

・仮囲い位置

・水道の確保

などなど確認します。

 

Img_2838630

そして、一通りの確認が終わった後・・・いえいえ実はその前から、

そう、お楽しみの・・・・色決めです。

 

屋根と外壁に使う鋼板の色を確認するために、長いこと検討します。

今回、少々冒険的な色を使用するため、

A4程度の大きめのサンプルを各社から集めました。

 

JFE鋼板

淀川製鋼所(ヨドコウ)

日鉄住金鋼板

 

Img_2866630

 

垂直に立てかけて並べて、様々な角度から眺めます。

近くから見るのと遠くから見るのも、色が変わります。

あ〜でもない、こ〜でもない。

 

実は1色仮決めしているのですが、

そこからどこまで冒険できるかどうかの見極めです。

難しい! なかなか決まりません。

 

がしかし、この感じ、ある感覚に似ています。

自分の感覚の限界を押し広げようとしている感じです。

絵を描いている時のような。

 

描いては消し、描いては塗り重ね、あの悩ましくも楽しい状況。

楽しいけど、悩む。 

そして夜が明ける・・・みたいな。

 

決めてしまえば良いのに、まだまだ決めない。

冒険の判断には、人知れず時間がかかります。

その積み重ねで建物はできあがっていきます。

というわけで、今回は一度撤退、事務所の前でまた試したいと思います。(笑)

 

 

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2018.10.06

■ 赤い外壁の家

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赤い外壁の家

大丈夫かな? 大丈夫かな? と

ちょっと心配だった赤い(正確には赤茶色い)外壁の鋼板の色決め。

施主から送って頂いた写真にCGを合成してチェック。

良さそうです!!

ということで、安心してGO!

設計者と施主が同じ方向に向かっていけるというのは嬉しいこと。

現在、各メーカーから大きめの鋼板サンプルを取り寄せ、

今後、微妙な色味を決めていきます。

Phhphotoroad01yug2630

弊社で設計する建物は

「本当に資産と言える建物、長く使える、残る建物」 を目指しており、

デザインだけで無く、

基本性能や設備のメンテナンス性も良いよう考慮されています。

今後ホームページで、それらのことについて、書いて行こうと思っています。




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2018.07.06

■ 総合病院の詳細調査

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先日、実施設計に先立ち、

総合病院の詳細な調査に行ってきました。


調査の休憩中に中庭で、木漏れ日が気持ち良いです。

この病院、実は建築家、吉村順三さんの設計なのですが、

時代をあまり感じさせないんですよね。


Img_2067630


これをきっかけにして、吉村順三さんの作品集などいろいろ見てみたのですが、

やはり、あまり時代を感じさせず、現代に通じている印象。

現代に通じる良い建築を沢山設計してきた方なのだなあと再認識しました。


設計にあたり、「時代性」をどう読み解こうかと思っていたのですが、

そんなこともあり、特に「時代性」に着目する必要なく、現代の感覚でよさそうです。


主に、耐震改修に関わる意匠設計の中で、

何か、よりよくできる部分はないだろうかと、考えています。




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«■ 外壁仕上げの検討