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2012.03.10

■ 住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第4回

● “絵”で分析しようという試み

今回は、空間を「視覚的・感覚的」に“絵”を使って分析してみましょう!
というものなので、もうすこしとっつきやすいのではないかなぁと思います。

サーベイによる事実の研究・蓄積はあくまでベースであり、
その先にある「視覚・感覚」の分析が実は意味のあることなのかもしれない。
と、後になって感じています。

なぜなら、美しいとか、何かを愛でる感情は、理論ではなく、感覚的で曖昧なものだと思うからです。「分析してみたけれど、ハッキリとはわからなかった。でも、きっとこういうことなんじゃないだろうか〜」という推測・妄想で盛り上がる方が、ロマンがあって楽しいのではなかろうと思うのです。

● 無意識って素晴らしい

見えやすい事実はシンプルでも、その奥には様々な無意識が潜んでいる。
大枠の構造がシンプルなのに、なぜ色々と多様で面白く、美しいのだろうかという疑問が沸いてくる。そこに気付いてみると、ジワジワと面白くなってくるのです。

私はそこに気付くのに10年以上かかりました。鈍いな〜。いや〜長かった。
重要なのは、事実の研究ではなく、その結果がどうこうではなく、
感覚だ、パッションだ〜と思うに至ったわけなのです。

何かを感じて作る・動く、その奥には、知らず知らずに無意識が作用している。
その無意識の可能性が素晴らしいのではないかと。

ならば、その無意識に働きかけるには?
その無意識を磨くには?

そこを皆さんにも考えて頂きたいのです。

●「旅」を感じるアプローチ

このアプローチ空間に込められたものが何だったのかということについて、結論として私が感じたことは、「旅」だったのではないかと思うのです。

山間のアプローチ空間は、母屋へと向かう道すがら、現れては消える様々な物との取り合わせを楽しむ空間と言えると思います。

それって「旅路」そのものではないだろうか!

山間の起伏や木々の中を旅する際の体験。つまり、
薄暗い森を抜け、日の当たる小径へと進むときや、
峠を越えたとき、あるいは
膨らみを一つ曲がったときなどの風景の広がり、空間の展開、
視界が遮られては開けることの連続、
道端の木々や草花を立ち止まって眺めるというような、旅の進行と休息を、
植木や門や地形を工夫し、組み合わせて造られているのではないかと思うのです。

● 視覚的、感覚的分析

では、いよいよ“絵”による分析の始まりです。

■ 基本的空間効果

だいたいの空間展開は以下の4つの効果に分解出来るのではないかということで、
「基本的空間効果」と呼ぶことにします。

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■ 複合的空間効果

次に、アプローチを演出している16の要素をまとめてみました。これらは実例を元にしたもので、先にあげた4つの基本的空間効果とその他の空間効果が組み合わさって成立していることが多いため「複合的空間効果」と呼ぶことにします。

我ながら、ま〜良く描いたものです。(笑)

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■ 事例1

最初の事例ですが、わりと短い距離でアプローチがS字を描いているもので、上で取り上げた4つの基本的空間効果を全て持っています。

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■ 魔のS字カーブ

S字カーブを分解すると、「窪み」と「膨らみ」の二つの要素に分解できます。
その道すがら、様々なアイストップ・木々のトンネルを設ければ、もう、いくらでも楽しめてしまうというわけです。道草食っちゃってなかなか家にたどり着かない・・・。なんて。
カメラを構え、一歩進む毎にシャッターを押しまくることになるのは、私だけでは無いはず!

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■ S字カーブは 「チラリズム型」 or 「迂回型」

S字カーブの活用法は大きく2種類あります。
「チラリズム型」か「迂回型」です。

「チラリズム型」は、視線の先にいつも母屋を見据えながら、右に振れたり左に振れたり、何か越しに見たりと・・・そりゃもう相当楽しめますよ。

「迂回型」は一度遠景としてバーンと母屋を含む敷地全体の風景を眺め、大きくゆっくり脇へと振り、母屋に到達する期待感を胸に抱きつつ、坂道の道行きを楽しむ感じなのです。「チラリズム型」の粋な刺激と比較すると、雄大・平穏な感じがします。

どちらもそれぞれ味わい深いのです。

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※ 論文とは大分趣向を変えてお伝えしております。



●住宅のアプローチ・構えの風景との関わり プロローグ
●住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第1回
●住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第2回
●住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第3回
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●住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第6回
●住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 第7回
●住宅のアプローチ・構えの風景との関わり 最終回 



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