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2020.09.12

■ 中学生!からの取材

素材感の有るラワンの建具

愛知の某中学校の生徒さんから、
建築のモダンデザインについて取材させてもらいたい。

というので、
お~中学生で建築のモダンデザインの研究とは凄いなあ,
いい活動じゃないか~、と引き受けた次第。
(自分が中学生の時はそこまで社会のことは見えていなかったというのに....)

本当は4月頃、修学旅行を兼ねてということだったのですが、
コロナのこともあり修学旅行は中止され、8月のメール+手紙でのやりとりとなりました。

その生徒さんは、
「モダン建築」→「シンプルモダン」→「ナチュラルモダン」
の順で調べたり、取材したりしてきた中で

どういった切っ掛けで、
私の設計した家を見てくれたのかはわからないのですが、

「木を多く使っていて、窓が多く、
 この家なら生活面(住み心地)でもデザイン面でも満足できるだろう」

と思ってくれたそうで。

その様な家を作るためにどのような工夫をしているのか
について取材させて頂きたい。

と。

なるほど、確かに言われてみると、
木を多く使っていて、窓も少なくは無い。その通りである。
日頃は、無意識(感覚)と意識の両方を使って設計しているので、
ハッキリと自分のやっていることについて客観的に意識していなかったふしもある。
よく観察してるな~。

それでもって、他とも比較した上でのことだと思うけど(?)
“この家なら” 生活面(住み心地)でもデザイン面でも満足できるだろう」
というのだから、嬉しいじゃなですか〜。

よくぞ、そこに気づいてくれました。

せっかくなので、これを機会に考えをまとめてみました。
下に、私からの取材の返答をご紹介。

「感覚」を改めて文字に起こしたため、ちょっと恥ずかしいですが・・・。
これからのピュアな中学生に向けて、素直にお伝えした次第!

Img_4631630
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私達の設計した家を、
生活面・デザイン面の両方で満足できるだろうと感じてくれて有難う!
木を多く使っていて窓が多いというのも、その通りだと思います。そこを気がついてくれた○○君は、良く観察しているなあと思います。

私が木を多く使う理由は、
「木」という素材が、それだけで「自然」を感じることがきる素材だと思うから。
木を空間に使うことで、人工物の中に「自然」を取り込むことができる。
自然の少ない都市の中でも自然を感じることができる。
また、木を使うことで、建物に対して愛着を持ち易くなると考えている。

 

では、具体的に僕達が設計しながら工夫していることを上げていこう。

■生活面とデザイン面の両方を満足させるためにやっていること

①人は自然を求めるもの それを建築に埋め込む
人は、自然を求める生き物であり、自然を身の回りに感じていたいものだと思う。
その自然を感じる身近なものとして「木」に注目している。
私自身、木にはとても魅力を感じるし、木目の自然な曲線や、色の濃淡など、見ていて飽きない。
それは、不思議なことだけど、年齢に関係なく、人間が自然から生まれてきた生き物からだと考えている。そういう魅力を空間や建物に持たせようと工夫する。

②愛着・素材感 を感じることができる家
人は自分のお気に入りのものには、何かしら愛着を持ちたいもので、愛着を持つためには、何か引っかかりが欲しいものだと思う。それに対する有効なものとして、木の木目や、木の質感、木の素材感、というものが役に立つと考えている。

③木と共に成長できる 時間の蓄積を感じられる家 
木は経年で色が変化したり、渋みが増したり、味が出てくる。傷も増えていく。手入れもしないといけない。これは悪いことでは無くて、むしろ良いことと考えた方が楽しい。住む人の思い出が時と共に刻まれて蓄積していく。いっしょに成長していける仲間のように思える家にしたいと考えている。

④心地よい色 のある家
家には何か心地よい「色」が欲しいと感じる。心地よく気分が上がる色。
そう考えた時、一番癖が無くて、受け入れやすく、愛着の持てる色として「木の色」を使うことが多い。木の色は、素材感と合わせて、人を心地よい気分にさせるものだと感じている。
 

これら①②③④のような効果を空間や建物にもたせたくて、
そういうものになり得るように全体を試行錯誤しながら考える。
全体のバランスで決める。

以下は、具体的な方法。

⑤モダンに見せるバランスを考える
木を沢山使い過ぎたり、見せ方によっては、不思議とモダンに見えなくなる場合がある。だから、空間の中の木のバランスは、デザインをする際に結構気にしているポイント。
木目の風合、縦横の向き、縦横の比率、粗密のバランス、間隔などを調整して印象をモダンに仕上げていく。外部・外部共に、これらのバランスはCGを作成して色や素材感の有る空間として執念深く試行錯誤してデザインする。

⑥木の素材感を 印象づける
都市部では、防火の関係から、壁や天井に不燃処理していない木を沢山使うことが難しく、また、不燃木は高価なため、木の範囲を絞って効果的に印象づける必要が有る。
なので、効果的に木を使うためには様々な工夫が必要になる。
・防火のかからない場所に効果的に使う(床・建具・建具枠・家具・外構の塀など)
・空間をシンプルにすることで、木の質感を際立たせる。
・素材感のある、粗目の質感の木を選ぶことで、比較的少ない面積でも印象づける。
などなど。これもCGの中で執試行錯誤してバランスをデザインする。
 

⑦色を保つ工夫、メンテナンスも考える
木はメンテナンスを考えて使うが、意匠性とメンテナンス性のバランスを考える。
多少手がかかっても魅力的と思う物は作る。

・外に使う場合は、基本的には比較的メンテナンスしやすい場所に木を使う。
・場合によっては雨がかからない場所を作るなどして、色褪せにくい工夫をする。
・塗装は、建主でもメンテナンスしやすい塗装の種類を選定する。
なども合わせて考える。

⑧窓をデザインする
私の設計する建物は、窓が少ないということは、たぶん無い。
それは、住宅は昔から夏をむねとし、風通しが重要とされてきているから。
住宅は昔から人の生活を支えてきたものだから、住宅の基本的な性能として
エアコンが無くても快適に過ごせる家にしなくてはと考えているから。
というわけで、窓は極力多く取るようにしている。
機能として必要な物を減らすこと無く、全てを含めてデザインでまとめ上げる。
私の場合、道路から建物がどのように見えるかという「構え」「佇まい」には拘るタイプの設計者で、窓も含めた建物の「構え」については時間を割いて執念深くデザインする。

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以上が、
「生活面とデザイン面の両方を満足させるためにやっていること」です。
取材の答えになっているかな?

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Kazuro Otsubo Architects  大坪和朗建築設計事務所

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