カテゴリー「■y2. 土地・敷地」の3件の記事

2012.05.22

■ 土地選びの盲点 - インフラ未整備

宅地として売られていても、
家を建てるためのインフラが整っていない土地が存在します。
整っていなくても、それなりにインフラが有るように見えてしまうケースが有ります。

それは、例えばこういう事例です。

昔は縦長の敷地を、手前と奥で分け、親類同士あるいは借家として、インフラを分岐して使用しており、奥の敷地をその状態で今まで活用していたが、最近になって奥の敷地が売りに出された、従って奥の敷地専用のインフラはまだ無い、というような敷地です。今後増えるのではないかという気がしています。

不動産情報には一応説明はされているのですが、それだけでは “基本的なインフラが整っていない” ということが一般の方にはわかりずらいという状況。また更に、それを整備するためにどれだけコストがかかると予想されるかということが説明されない。必ずしも説明する必要が無いようなのです。

だから、土地の購入を決めた後に、それ以外の要因も加わって、様々なコストが掛かることが分かり、購入寸前の所で断念されたケースが有りました。

購入前だったから良かったものの、購入した後だったら資金繰りに窮するところです。不測の事態に対する余力までは無いのが普通ではないでしょうか。

宅地なら、あとは家を建てればOK、
ということでは、必ずしも無いという。
また、建築法規とも無関係な故に、
盲点と言えるのではないかと思います。

しかしだからといって、誰かのせいにもできないという、
そう言う土地が有ると言うこと。
これを知っておく必要が有ります。

 

以下のような要素が考えられます。

● 接道する前面道路が共用で舗装されていない
● 下水管・水道管・ガス管がお隣と共用で且つ古い

→建設時に重機の重みで破損する可能性有り。
 共用配管なので、修復の費用分担が不明。
→あるいは重機を使用しないことによるコストアップ。
→あるいは、その状況を整備するための協議期間と手続き、
 道路舗装や下水整備のコストは計り知れない。

● 共用している下水管・水道管が細い


→長屋などの共同住宅を建てる際には整備が必要。
→2世帯,3世帯とする場合でも容量が心配。
→水道メーターを増設できない。

●前面道路以外も細く、トラックやクレーンが入れない道路の距離が長い


→4m拡幅のためのセットバックが進んでおらず、
 建設資材の手運びによるコストアップ

● 盛り土の土地で地盤改良必要、

 2m以上の擁壁が有ることによる崖崩れ対策など、
 インフラ以外のコストアップ要素も有る。

→土地が安い理由は1つだけとは限らない。2重、3重も有り得ます。



敷地とは様々な状況を含みつつ提供されている。
全てを管理し整備することなどできない。

これは、どうこう言っても始まらない。
購入される方々が、自ら気を付けなくてはならないことなのでしょう。

いや・・・でもどうなんでしょうね?

以上、中にはそんな土地も存在します。
ご注意下さい。



その敷地は、その後コンペでも取り上げられ、
現在も既存家屋が残ったまま、進展は無いようです。
今までどれだけの方々が翻弄されたのだろうか・・・。



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2012.05.17

■ 擁壁のある敷地について - 2

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■ 擁壁のある敷地について - 1 の続き

擁壁にもいろいろ種類がありますが、
構造がある基準に達していて、役所に書類が残っている擁壁であれば、
その擁壁は、補強の必要は有りません。
なのでいつも、そこに一縷の望みをかけるのですが、
希望に反して、そうであったことは今まで有りません。

写真のような、一見シッカリとしているように見えるブロックの擁壁も、
ほとんど書類に残っておらず、構造的な裏付けは得られないのです。

以下は、弊社のホームページに公開している、都条例の内容です。



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●敷地境界付近に2メートル以上の擁壁等

敷地よりも隣地が2メートル以上高い、或いは2メートル以上低い場合は注意が必要です。
上記のような敷地の場合、地域によって、崖の上下に有る建築物の構造や離隔距離を規定するなどの条例が有ります。
東京都の条例では以下のような内容となっています。

■ 崖下に建物を建設する場合
以下3つの方法のいずれかを選択する必要が有ります。

1.崖から一定の離隔距離を確保する。

敷地に余裕が無くて上記離隔距離をとるのが難しい場合は、
下記の2通りになります。

2.敷地側に新たに、基準に定められた強度を持つコンクリート製の 
  擁壁を設ける。

3.建築物を部分的にコンクリート製にする。
(1階部分全体をコンクリート製にして、2階以上は木造にするなど)

■ 崖上に建物を建設する場合
以下3つの方法のいずれかを選択する必要が有ります。

1.崖から一定の離隔距離を確保する。

敷地に余裕が無くて上記離隔距離をとるのが難しい場合は、
下記の2通りになります。

2.敷地側に新たに、基準に定められた強度を持つコンクリート製の
  擁壁を設ける。

3.擁壁の基礎下端付近までの深基礎あるいは杭などを設ける。

以上のように、敷地上下の崖からの安全を確保するためにコストがかかります。
しかしながら、これらの土地も、対策を施せば、眺望の良い最高のロケーションを手に入れることができるかもしれません。それらも考慮し、様々のもののバランスの中で検討されることをおすすめします。

崖条例以外にも、地域によっては、建築基準法以外に独自の条例が定めてある場合も多く、建築基準法より厳しく規制されているのが普通なので、それらにも注意が必要です。

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●その他、良く参考にしているホームページをご紹介
 様々なことが書かれ、分かりやすいです。

 擁壁・がけ崩れ110番







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■ 擁壁のある敷地について - 1

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先日のブログにも掲載させて頂きましたが、

「崖」というロケーションは、
眺望が良い可能性も高く、魅力的な土地です。
崖というだけで、イメージがドンドン広がりますよね。(^^)

しかしながら、都市部では「崖=2メートル以上の擁壁(ようへき)」が敷地境界線に有る場合、既存の擁壁の補強・新設や、敷地内に建てる建物の構造についての決まり事が有り、それをクリアするために予想外のコストがかかりますので注意が必要です。

また、擁壁があることによって、どのようなことになるのかを、ハッキリ細かく説明していくれる不動産屋さんは、残念ながら存在しないようなのです。
例えば、重要事項説明書に「2メートル以上の擁壁が有るので、条例のどこどこを参照」とまで説明されていたとしても、それによって、建築コストが跳ね上がる可能性までは勿論説明されません。

ですから、土地を購入される方々自らが、用心する必要があります。

まず、土地が安かったら、他と比較して安い分だけ、
建築コストがかかると考えた方がよいでしょう。
思いのほか安い土地には必ず何か理由があります。
そして理由は一つとは限りません。
擁壁に加えて、建物を建てるためのインフラが整備されていないというケースも有ります。
同じように、そのことは書類に説明されていても、その整備にどれほどのオーダーでコストがかかるかまでは、指導してくれません。

下記資料は横浜市のものですが、8,9ページに、崖上・崖下に家を建てる場合の解説がされています。
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenchiku/guid/ikenkoubo/jourei-kaisetu.pdf
都市部では敷地の広さが限られているので、崖からの離隔距離を確保することはまず難しいです。従って単純に木造とするのは難しく、1階が一部RC造となるような、混構造になると考えられ、その分コストもかかりますので、まずそれをクリアするためにも、建築士の専門知識が必要になります。


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